茶話

【徹底解説】ほうじ茶の魅力(前編)

ほうじ茶のイロハ

まずはほうじ茶のイロハについてお話しします。前編は成分についてです。

ほうじ茶の健康効果といえばカテキンが有名ですね。それについては「お茶の成分のおさらい・前編https://www.zenjiro.jp/archive/1」でも解説していますので、ここでは、別の2つの成分についてまずお話しします。

焙煎をするということ
ほうじ茶は緑茶を焙煎して出来ます。テアニンが含まれないほうじ茶は安いのが魅力です。一般に販売されているほうじ茶は大体180度から200度くらいが多いと思います。ドラムの温度を300度くらいに設定してドラムを回転させて出来上がりが180度くらいで排出する感じです。
ご家庭にある煎茶や番茶をフライパンで乾煎りすれば、簡単にほうじ茶ができます。ただし、目で見て白煙の立ち加減や余熱を考慮しながらやる必要があります。楽しいですけど、換気扇は忘れずに。120度くらいから煙が立ちはじめます。

香りの秘密
焙煎したてのほうじ茶は香ばしい香りがします。焙煎の過程で茶葉が褐色になるのはメイラード反応と言って糖とアミノ酸が化学反応していることで起きます。この結果、2つの物質ができます。ピラジンとメラノイジンです。

ピラジンは香気成分です。石川県工業試験場の笹木哲也さんたち研究者が調査し、ピラジン類を含む多くほうじ茶の香りは好まれ、アルデヒド類を多く含むほうじ茶は好まれないという結果になっています。ピラジン類を多く含むのはその原料となるアミノ酸を多く含むことが条件となります。この研究で筆者のいだいていた謎が解けました。美味しいほうじ茶とそうではないほうじ茶の違いです。美味しいほうじ茶はもともとうま味のテアニンが豊富な茶葉が育つ産地の緑茶を原料にしており、やはりちょっと値段はお高いです。煎茶だけではなく、ほうじ茶でも品質の違いが出るということになります。

ピラジンは牛肉を焼いた時やワインなどの香りにもあります。ほうじ茶でつくられるピラジンはアルキルピラジンといって、これの物質は血液をサラサラにして血液流動生を高めることが2004年にカゴメの研究で明らかにされています。血栓予防になりますね。

褐色の秘密
焙煎の過程でつくられるもうひとつの注目物質はメラノイジンです。メラノイジンは香気成分ではなく、褐色化する色の成分ですが、これもさまざまな健康効果があることが分かっています。女子栄養大学の三浦理代名誉教授が2002年に発表した内容によれば以下の通りです。
食物繊維類似の機能(コレステロール低下)、耐糖能改善効果(でんぷんの消化速度が3割ゆっくりに)、インスリン分泌促進(糖尿病予防)、リパーゼ活性を阻害(肥満・高脂血症の予防)、抗酸化、活性酸素除去、ニトロソアミンの生成抑制(胃がんの発生抑制)。
難しい言葉が並びますが、すごいですよね。

次回後編はほうじ茶の楽しみ方です。

当店オススメの美味しいほうじ茶は

ZENJIRO ほうじ茶 40g 700円(税込)です。
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